巣立ち会の退院促進支援

退院促進支援とは
 
 日本の精神障害者をとりまく精神保健福祉施策は、入院治療より外来治療を中心とした地域での治療・ケアという時代を迎えています。しかし一方で、精神障害者の社会的入院の実態は依然として大きな問題となっています。
 2002年にようやく入院医療主体から地域主体への転換、72,000人の社会的入院者の社会復帰等を国が施策に盛り込んだことで、2003年に始まる退院促進支援事業の国策化に繋がりました。しかし依然として社会的入院は解消されたとは言えない状況です。
 社会的入院は、積極的な症状が消失して社会生活に復帰することが可能になったのにもかかわらず、住まいの問題、ご家族の受け入れなど社会的な理由で退院ができずに、入院生活を余儀なくされている状態のことをいいます。この社会的入院が当事者の社会参加や自己実現の機会を奪い、本人の人権を著しく損なう状態にしてしまうのですが、退院を積極的に進めていく場合の支援体制は十分ではありません。また精神障害者が円滑に地域に戻ることができる早期退院の仕組みも確立されていないのです。
 東京都でも平成18年度から退院促進支援事業を開始し(平成16年度、平成17年度はモデル事業)、事業の推進によって平成23年度末までに500名の方が地域生活へ移行することを目標としています。しかし平成22年12月末の時点での退院者は267名であり、一定の成果を挙げてはいるものの地域移行支援は遅々として進んでいないのが現状です。

(参考:東京都障害者計画・第2期東京都障害福祉計画 第2章P51〜東京都退院促進支援事業のまとめ
 対象となる人々の高齢化などを考えると、退院後の地域生活を支えるための支援体制作りが急がれますし、最近多くなってきたと感じる「入院歴は長くないが退院できない若い人々」に対する支援も重要です。退院促進支援のネットワークをもっともっと拡充し、地域の支援スタッフが十分に機能するような体制を作っていくことが急務なのです。